左官工事

珪藻土

珪藻土について

保温、防露・調湿、脱臭や遮音に優れた珪藻土。
凝固剤・つなぎ剤の悪影響に注意

珪藻土とは

珪藻土は代表的な左官壁だが、左官の仕上げ材として使われ始めたのは、ごく最近だ。もともと珪藻土は、七輪やコンロに焼いて使われ、保温や断熱性のある素材として知られていた。そこに珪藻土仕上げ材が出現し、手軽に左官仕上げのテクスチュアを楽しめることが注目を集め、自然住宅の啓蒙に大きく貢献した。
珪藻土は、海や湖に棲息している藻(プランクトン)の死骸が永年にわたって堆積してできた粘土状の泥土だ。日本各地に分布するが、なかでも秋田、能登、岡山、大分などからは良質なものを産出している。最大の産出国はアメリカで日本も輸入している。

珪藻土の特徴

主成分はガラスと同じ珪酸質(シリカ)で、直径11~1ミクロンという超微細で多孔質な構造をもつ。保温、防露・調湿、脱臭や遮音など、塗り壁材として魅力的な性質を与える。
珪藻土は固化しないので、現場調合の場合は、石灰や砂のつなぎ材にツノマタなどの結合成分を混入する必要がある。職人の経験を踏まえて割合を設定し、事前にサンプルをつくるとよい。最近は、現場で水を加えて練ると使える既調合の製品が普及している。

既調合製品の注意点

安全性では、凝固剤やつなぎ材の成分や分量に注意を要する。ウェブサイトから十分な製品情報が得られるが、MSDSを取り寄せたり、メーカーに問い合わせることも必要だ。ただし、成分の配分までは公表されていないこともある。
施工性のよい製品には、酢酸ビニル系や合成樹脂系のつなぎ材が多く含まれており、珪藻土に特徴的な吸放湿性能を低下させている。また、国際ガン研究機関によると、焼成した結晶性シリカには発ガン性があるそうだ。ともに注意したい。

珪藻土の成り立ち

珪藻(植物性プランクトン)

原油(石油)・・・ガソリン
珪藻土・・・七輪コンロ、断熱レンガの原料

2つの珪藻土

ツノマタ
珪藻土
石灰

昔ながらの方法による珪藻土

左官職人の経験と腕によって調合される

現在の珪藻土製建材

珪藻土+水

・現場で水を混ぜ、練るだけで使えるものが多い
・価格はほかの左官材に比べて高い
・凝固材やつなぎ材の成分に注意
・MSDSの取り寄せ、メーカーへの問合せが必要

さまざまなテクスチュアを表現することができるので、現場で職人さんと相談しながら、サンプルをいくつかつくってもらい、検討するとよいでしょう。