左官工事

漆喰

漆喰について

環境に優しく、防火性や表現力、抗菌性に優れた漆喰

漆喰の今昔

その昔、漆喰はヨーロッパからシルクロードを渡り、海を越えて日本にやって来た。以降、数多くの城郭や土蔵の壁などに使われてきた、伝統的な建築建材だ。
漆喰の主成分である消石灰水酸化カルシウム)は、石灰石を高温で焼成して生石灰とした後、水と反応させたもの。それに麻や藁、スサとツノマタで知られる海藻糊などを加え、練り上げたものが漆喰だ。かつては、職人がその地域の気候や下地などの条件に合わせて、現場で消石灰に水やスサなどを入れて調整し、練り上げていた。
現在の主流は生石灰クリームで、生石灰の状態で水を加え、沸化させてペスト状にしたもの。スサや糊などが入った既調合漆喰として流通しており、水を加えて練るだけで使用できる。ペースト状の既調合品には、施工性を高めるためにアクリル系樹脂などが添加されている場合がある。自然性を損なうので、成分は事前に確認したい。

漆喰の長所

・環境に優しい空気中の二酸化炭素を吸収しながら、100年以上という時間をかけて自然に強度を増し、もとの石灰石に還る。まさに生きている素材といえる。また、漆喰はほとんどの構成素材を国産で調達可能で、循環性にも優れている
・防火性が高い:防火材としての歴史は長い。川越の蔵造りや、美濃市のうだつのあがる町並みなどでは、延焼を防ぐ目的で使用されている
・豊かな表現力:仕上げでは、通常のコテ押さえや磨き仕上げ、引摺り仕上げなどでさまざまなテクスチュアが表現できる。また、ベンガラや黄土、松煙などで着色も可能
・抗菌性がある:強アルカリ性のためカビや細菌の繁殖を抑えることができる。素手でさわると手が荒れることがあり、取り扱いには注意が必要

漆喰の長所・短所

長所
・防火・不燃性
・耐久性
・防湿
・消臭
・抗菌性
 強アルカリ性によって、カビや菌の繁殖を抑える
・豊かな表現力
 コテ押さえ、磨き仕上げ、引摺り仕上げなど、
 テクスチュアが豊富
・循環性
 国産で調達可能

 

 

短所
・強いアルカリ性
 直接触れると肌が荒れることがある
・収縮率が高くひびが入りやすい
・アクリル系樹脂などの添加(既調合品)
 有害物質が揮発する。
 吸放出の効果を妨げることがある。

代表的な漆喰の町並み

川越市 川越蔵造り
黒は江戸っ子たちにとって“粋”とされた色で、川越も江戸文化を手本に江戸黒」を外壁の仕上げに使用していた

代表的な漆喰の町並み

美濃市 うだつのあがる町
隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁としてつくられた。また、自己の財力を誇示するための手段として、立派なうだつが上げられた

漆喰を構成する材料(つなぎ・骨材)

骨材とつなぎで、漆喰の施工性や作業性を高めていく

主な漆喰のつなぎ

漆喰そのものは粘土質でやわらかく、乾燥するとひびが入って割れる。そのため、骨材やつなぎが非常に重要だ。漆喰のつなぎになる主な材料は、次のとおり。

①スサ

土の収縮を和らげ、ひび割れや剥離を防ぎ、強度を保つために使用される繊維質の材料。麻、藁などがある。土壁は藁スサが使われるが、漆喰では麻の繊維をほぐした麻スサ、磨き仕上げには紙スサが使われる。
施工性も高い。鏝の圧力に耐えて塗り壁材料に弾性力を持たせ、鏝伸び、鏝ばなれをよくする。
紙スサはコウゾ(楮)などの繊維を水に浸して、棒でたたき、繊維をほぐして使う。木造最古の建築物である法隆寺の漆喰にも使われていたといわれ、鏝絵で有名な伊豆の長七こと、入江長七も口に和紙を含み、それを紙スサとして使ったという。

②糊

漆喰の接着性や作業性を高めるために使う。以前は職人がツノマタ(角叉)やギンナンソウなどの海草を煮漉して使っていたが、近年では粉末状のツノマタやメチルセルロース、化学系のアクリル系樹脂などを使うことが多い。

③砂

川砂が用いられる。ひび割れを防ぎ、強度を保つ。塗りやすく厚みの調整がしやすいため施工性は高い。

④顔料

顔料を加えることで、元々白い漆喰に色をつけることが可能だ。たとえば、顔料のベンガラを混ぜた赤漆喰や黄土、赤土、桃山土などの色土を使った色漆喰、灰墨を使った黒漆喰などがある。
黒漆喰は、黒ノロ(菜種油を燃やしたすすから採る油煙・消石灰・ツノマタを酒か油で溶いて寝かせてできる)を、漆喰の上に薄く延ばして塗ったものだ。筆者の住む川越では、黒漆喰に塗られた蔵が並んでいる。[落

スサの種類

麻スサ

・最も一般的なもので、“日本麻”が原料
・漆喰、プラスター類に使用される
・昔は下駄の鼻緒の切りくず、地引網などを用いていたが、現在はコーヒー袋などが使われている


古い民家の和室
以前は麻スサが使われていた

藁スサ

・5cmくらいに切ったものは荒壁に用いられる。ジェード麻を使用していることが多い
・5mmくらいに切ったものは漆喰の装飾用として用いられる

紙スサ

・手漉き和紙すさ
・コウゾやミツマタなどの植物繊維を用いる
・水に浸し、樫の木の棒でよく叩き、繊維をほぐしてつくる

化学繊維のスサ

・安くて混ぜやすい。強度に優れ、光沢が出る

海藻ノリの種類と役割
海藻ノリは漆喰に保水効果を与え、施工性を高める
写真提供:千葉大学海洋バイオシステム研究センター銚子実験

ギンナン草

ツノマタ

フノリ

漆喰の施工(内部の壁)

漆喰の施工では、下地の種類や大壁・真壁の違いによって施工方法は大きく異なる

異なる施工方法

下地が竹小舞荒壁の場合と、木摺やラスボード、石膏ボード下地の場合では施工方法が違う。また、後者においても、大壁なのか、真壁なのかにより施工は大きく異なる。

竹小舞荒壁の場合

荒壁に砂漆喰、中塗土、漆喰と塗り重ねていく。もちろん、真壁の施工になる。チリひげこなど、収縮を緩和し割れや隙を防ぐ部材を用いるなどの工夫が必要だ。
また、壁が貫であるか、筋かいと貫の併用であるかで塗り厚や柱寸法も変わってくる。設計にあたっては、構造だけではなく付随して壁の仕上げにも配慮が必要だ。

木摺やラスボードの場合

これらは左官壁の厚塗りが可能だ。砂漆喰、中塗土漆喰仕上げと塗り重ねていく。大壁ならば、万全を期すためにも割れ防止のためのメッシュを敷き込みたいところだ。

石膏ボードの場合

石膏ボード目地を寒冷紗で押え、下地塗り壁材を薄塗りする。パテの場合は全面パテを施さないと、乾燥速度の違いで仕上げに色むらが出る可能性がある。その上に漆喰を二度塗りする。

漆喰のアレンジ

漆喰は、平滑で真白な壁である。見た目の好みに合わせて色を付けるのもよいだろう。着色にあたっては、顔料を使用する。鉱物などの無機顔料もよいが、大津壁のような土を混ぜた壁にチャレンジするのも興味深い。
藁スサや紙スサ、砂などの骨材を加えた仕上げも人気だ。塗り方で、さまざまな表情や陰影を出すことができる。
仕上げ面を鏝で磨いて鏡のようにする「磨き」と呼ばれる工法もある。光とのコラボを楽しむのも自然材料の醍醐味である。

ラスボード下地

壁内壁の場合(一般的な方法)

ラスボード下地

大壁・内壁の場合(伝統的な方法)

竹小舞下地の構成

漆喰の施工(外部の壁)

外壁の漆喰は、中塗りの十分な乾燥と平滑性の確保が大事

外壁の漆喰塗りの施工手順

壁の断熱材の外側にラス下地、アスファルトフェルトを張り、その上にメタルラスなどを張り付け、軽量モルタルを塗る。続いて割れ防止のためのネットをふせ込みながら中塗りの砂漆喰を塗り、最後に漆喰を塗り上げる。この工程で重要なのは、砂漆喰を塗り終えた後に十分に乾燥させることだ。この段階で下地の水分を出し切ることで、漆喰表面の亀裂を防ぐことができる。
また、砂漆喰の表面はできるだけ平滑に仕上げるようにしたい。上塗りとなる漆喰は比較的薄く塗り上げるので、砂漆喰の不陸やコテむらをそのまま拾ってしまうのだ。
漆喰はオイルを混ぜて施工することをお勧めしたい。このオイルが汚れ防止や防水に大きく貢献するなお、真壁の場合は、軽量モルタル施工後に柱や梁の際部分にしっかりとチリ廻り塗りを行う。

漆喰に色をつける

漆喰は、そのままで仕上げても美しいが、着色してアレンジするのも面白い。
着色するならば、漆喰できればノロと呼ばれる高純度の漆喰に、墨、ベンガラなどを混ぜ込んだものを使用する。仕上げ面が色むらにならないように、十分に混ぜ込むことが重要だ。料が粉末状であれば、粉末段階の漆喰と十分に混ぜ合わせてから水を加えるとうまく混ざる。
また、色を濃い目に出す場合には、顔料をいくぶんか多めに混ぜるとよいだろう。乾燥すると、施工直後と比べてかなり色が白くなる。施工前に塗り見本をつくるのが望ましい。
施工では、上塗りの漆喰が乾き上がる寸前に、顔料を混ぜ合わせた漆喰を塗り重ねていく。時間が経つと色味が変わってきてしまうので、1面ごとに一気に仕上げていくのが望ましい。

一般的な外部の漆喰の下地構成

漆喰の外壁

神戸北野異人館
改修で漆喰壁に塗り替えている

荒壁漆喰仕上げ

貫筋かい+荒壁
貫や筋かいに荒壁下地をつくって漆喰で仕上げた例

荒壁漆喰仕上げ

古民家改修
既存の荒壁下地に漆喰で仕上げた

生石灰クリームについて

漆喰と主成分を同じくする生石灰(きせっかい)クリーム。施工性が高く、世界中で使われてきた

漆喰との比較

漆喰が日本の伝統的壁材であるのに対して、生石灰クリームは大昔から世界中の華やかな文化や文明を下支えしてきた素材だ。ピラミッドの石積みや地中海の島々の外壁、アクロポリスの神殿などの建築物や、フレスコ画にも利用されてきた。
もともと生石灰クリームも漆喰も、主成分は石灰石を焼成してできた生石灰だ。漆喰は生石灰に水を加え沸化してできた消石灰に、スサや海藻のりなどを加えたものであるのに対し、生石灰クリームは生石灰に大量の水を加えてクリーム状にして、時間をかけて熟成させたものだ。

高い表面硬度と強アルカリ性

漆喰と同様に、生石灰クリームも施工後に空気中の二酸化炭素を吸収しながら長い年月をかけて自然に硬化し、もとの石灰石に戻る気硬性の性質をもつ。多孔質で、循環性にも優れた素材だ。表面硬度は漆喰より高いが、仕上がりは漆喰と変わらない。
強いアルカリ性をもち、カビや細菌の繁殖が少ない。その反面、肌などに刺激を与えるので、取り扱いに注意しなければならない。

施工しやすい既調合品

従来型の漆喰は粉状の消石灰に水な現場調合するため、出来不出来が左官職人の腕によって左右される。
一方で、生石灰クリームは乾きも早硬化後の収縮が少ない。その上、付着性もよく施工が比較的簡単だ。
既調合品の生石灰クリームも普及してきた。コストパフォーマンスが高く、使い勝手もよいので、最近では和洋問わず広く用いられている。セルフビルドにも使用されており、クロスなどの代わりに使いたい塗り壁材の1つだ。
だが、近年では施工性の高い既調合漆喰も出てきている。セルフビルドの施工では、漆喰と生石灰クリームの違いはなくなってきている。

生石灰クリーム(漆喰含む)を使った世界の文化遺跡

アクロポリスの神殿
ヨーロッパの城
地中海の島々の外壁
フレスコ画
ピラミッド
万里の長城
高松塚古墳
法隆寺
日本各地の城

生石灰クリームと漆喰の違い

石灰石を焼成してできた生石灰+水
 ↓沸化
消石灰+水 クリームは、漆喰と比べて大量の水を使う
 ↓消化
石灰泥
 ↓熟成
生石灰クリーム

石灰石を焼成してできた生石灰+水
 ↓水沸
消石灰+スサ 海藻(糊)
 ↓調合
漆喰

  主成分 その他の成分 施工性
 生石灰クリーム 消石灰 すでに練った状態なのですぐに使え、施工性に優れる
漆喰  生石灰 スサ、糊

現場調合なので職人の腕に左右される
(近年では既調合の漆喰もある)

最近では、その違いが明確ではなくている

生石灰クリームの施工

下地を選ばない生石灰クリーム。テクスチャーや着色でさまざまな表現が可能

水に弱い性質

生石灰クリームは、漆喰と比べて下地の種類を選ばないが(モルタル下地、コンクリート下地、石膏ボード、ラスボード下地などに施工できる)、薄塗りのためひび割れしやすい。水には弱く、浴室などの水廻りには不向きだ。リフォームの場合は、事前に既存の仕上材を剥がし、下地を調整してから施工する。季節や気候によるが、乾くまでに1~3日かかる。

用意するもの

生石灰クリーム・金ゴテ・刷毛
・ローラー・ゴム手袋・ゴムベラ
・コテ板・バケツ・ひしゃく
・十分な量のウエス(ぼろきれ)

施工の手順

下準備:塗らないところはマスキングテープやビニルシートで養生する。石膏ボード(ラスボード)に塗る場合、ボード継目にパテ処理とジョイントテープでの下地処理が必要
調合:テクスチュア表現のためにスサや珪砂などの骨材を、着色のためにベンガラなどの顔料や色土を混ぜることもできる。乾いて色の仕上がりが薄くなりがちなので、事前にサンプルでの確認が必要。着色の場合、メンテナンス時に同色の補修は難しい
下塗り:厚さ1㎜程度の薄塗りを重ねる。ローラーや刷毛で塗った後、ゴムベラで押さえると比較的簡便だ。特にチリ際はひびが入りやすいので、しっかり押さえる
仕上げ:下塗り時にスサや骨材を入れてあれば、コテやゴムベラで軽く押さえながら下塗りの全体を整える
コテ押さえ:スサや骨材が少なめであればコテを使って平滑に押さえる
パターン押さえ:引きずりコテや刷毛、ローラーなどでパターンづけする
磨き押さえ:漆喰の磨き仕上げ同様の表面に光沢の出る仕上げ。顔料を混ぜて塗り乾燥直後に布で磨く

用意するもの

金ごて
ローラー
ゴム手袋
バケツ
ひしゃく
ウエス

生石灰クリーム

下準備



マスキングテープ
塗らないところはしっかり養生する

下塗り



厚さ1mm程度の薄塗り

仕上げ
・押さえ
・パターン押さえ
・磨き押さえ

 

仕上げ

鏝押さえ

 

パターン押さえ

 

磨き押さえ

ホタテパウダー

空気をきれいにし、火災にも強いホタテパウダー。施工も簡単でセルフビルド向きだ

循環型リサイクル商品

漆喰風に仕上がるホタテパウダー。主成分は、ホタテ貝を高温粉砕した粉末で、石灰と同じ、炭酸カルシウムである。ホタテの貝殻は、北海道や青森で水産廃棄物扱いされ、その堆積量は年間25万にも及ぶとされる。最近では、有効利用のための開発が進み、北海道ではホタテの貝殻を牧場の汚水の浄化や、温泉や公衆浴場での殺菌のための用途として、あるいは土壌改良材などとして使われ始めている。紹介するホタテのパウダーもこのホタテ貝殻の再利用の1つで、循環型リサイクル
商品といってよい。

セルフビルドに適した素材

ホタテパウダーは、ローラーやコテ刷毛などで、素人でも施工が簡便にできる。また、焼成されたホタテ貝殻とドロマイトプラスターのもつ多気孔性が不快な匂いや空気中の有害化学物質を分解する。万一の火災でも主成分がカルシウムのため非熱性で燃えず、害ガスを出さない。
このなかでも特に、左官職人の技術を借りずに、自分たちの手仕事で手軽に漆喰の感じを出せるというのが大きい。ローラーなどで施工すれば、ほとんど塗装感覚で仕上げることができ、素人でもそこそこの出来栄えが期待できる。ただし、比較的薄塗りなので、藁スサを入れるなどの意匠には適さない。色粉や顔料で彩色したりすることは可能だ。

手入れ、傷・汚れの対応

基本的に、定期的なメンテナンスは不要だろう。素材自体が自ら硬化する性質をもつため、剥離の心配はないようだ。
油や染みなどの汚れは、その部位をナイフなどで削り落として、ネタを補填すればよい。傷などの場合、陰影がでるような深い傷はやはりネタをつくって塗り込みたいが、浅い傷であればさほど目立たない。

ホタテパウダー

 

ホタテパウダーローラー塗り仕上げのテクスチュア

ホタテパウダー

 

左からホタテパウダーを水で溶いたもの、ローラー、コテ刷毛

ホタテパウダーの施工手順

1 マスキングテープで養生
施工する部位の周りのドア枠や幅木、柱などにマスキングテープで養生する

2 下地処理
ビニルクロスの上に塗る場合やコンパネや合板を下地にする場合、灰汁(あく)止めのシーラーが必要

3 水を混ぜて撹拌
ホタテパウダーと水の比率はおよそ1:1。簡易ミキサーなどで十分に撹拌する

4 入隅の補修
ローラーが使えない部位などを隅切用の細い刷毛などで最初に塗装しておく

5 ローラーで1回目塗布
ローラーはあまり幅の狭いものより、広めのもののほうが塗りやすい

6 ローラーで2回目塗布
1回目の塗装が2~3時間で乾いてくるので、確認後に2回目の塗布

7 完成

土佐漆喰とは何か

強度と作業性に優れ、乾燥後にクラックの入りにくい土佐漆喰

根強い人気をもつ工法

高知県土佐地方の漆喰は、この地方で採れる良質な石灰石を使い、伝統的製造工程でつくられる。その美しい表情や高い耐久性から、土佐地方以外でも根強いファンをもつ。
土佐漆喰の特徴としては次の点が挙げられる。
・高知産の純度の高い石灰石を使う
・伝統的な徳利窯を使い、大量の工業
塩を混ぜて焼成する。重油を用いるよりも低い温度で焼成させるため粒子が粗く、塩分が付着した消石灰(塩焼き灰)ができる
海草(ツノマタなど)を使わず、発酵スサ(稲藁を発酵させたもの。漆喰に粘着性がでて、粘土やスナなどの骨材に絡みつくようになる)を混ぜて使う

水に強く、割れにくい

土佐漆喰に含まれる発酵スサによ強度を長時間保つことができる。雨に打たれても、剥離やカビの発生が起こりづらい。水に強い外壁仕上げ材になる。
また、粒子の大きい消石灰とこの発酵スサにより、少ない混水量でも粘性が高くなる。そのため糊を使わなくても作業性がよく、塗り付けを厚くすることができる。
安定した粘性でゆっくりと硬化するため塗布・乾燥後の収縮率が少なく、クラックが入りづらい。目地を切らずに大きな面を塗ることも可能だ。

土佐漆喰の可能性

上塗りした外壁にノロ漆喰を塗り重磨きをかけると美しい仕上がりになる。当然、現在の一般的な壁工法と比べると多くのコストと工期が必要だが、防水・耐火・耐久性など優れた性質をもっている。無機質な外壁材では到底味わえない美観もある。自然住宅が見直され始めた昨今だからこそ、土佐漆喰のような本物志向の仕事が増えてほしいものだ。

土佐漆喰とは

①高知産の純度の高い石灰石を使う

高知城

慶弔6年(1601年)土佐藩初代藩主・山内一豊によって着工された望楼型4重6階型の城。地元土佐が誇る土佐漆喰の代表的建築物

 

②伝統的な徳利窯を使い、大量の工業塩を混ぜて焼成する

徳利窯

 

③海藻糊を使わず、発酵スサを混ぜて使う

発酵スサ
写真提供:田中石灰工業

土佐漆喰の魅力

 

とにかく美しい!
カビが発生しづらい
防水性に優れる
耐火性がある
環境性に優れている
耐久性は折り紙つき
クラックが入りづらい
VOCを発生させない

あの姫路城も、土佐漆喰を参考にしている!
別名「白鷲城』の名前で親しまれ、世界文化遺産にも登録されている姫路城。昭和の大改修、平成の大改修(平成21~)に際しては、土佐漆喰を参考に改良した漆喰が使われている